おもちゃ45


〜スヴェア 123R〜

前々回最後に登場したこの大やけどの重傷患者。


実は小型ガソリンバーナー界では超有名なスヴェア123という名機!
(ちなみに「スヴェア」とは、原産国スエーデンを昔支配していた民族の呼び名だそうです。)
その歴史も古く、19世紀末に生まれた時にはすでにその基本設計はできており、
その優秀性から今なお世界中で愛され、生産され続けているのです。
(詳しくはWikで)

そういうこだからこそ、様々な扱いを受けるから、
今回のように火だるまになり、現役引退になることもたまにあるのです。

さて、それではオペにかかります。
まずは全身のチェックから。

外観から火だるまになったと思われますが、一番心配だった熱膨張によるタンクの変形などは見当たりません。
普通こういう時は過熱され過ぎタンクが耐え切れず、
安全弁付近から火を噴き炎上というのが多いので、その際タンクが膨らみ変形するのですが…
ということは、どこかに緩みがあってそこから燃料が吹いたのちの炎上なのかな?

ま、取りあえずばらしてみよう!
あれ?
手こずると思われたタンクとバルブ部分の分解が意外にもあっさりと…
ということはここが緩んでいたのか?
で、あけてみると…

やっぱそうだ!
下にある綿ヒモのようなものは「ウイック」といい、本来は矢印の位置に突っ込まれ、
上部へ燃料を吸い上げる役目を果たしております。
ですが、今回は途中で焼ききれ、タンクの中に落ち込んでおりました。

なるほど、この継ぎ目が何らかの原因で緩み、
それに気づかずに使用しているうちにここから火を噴き炎上したんでしょうね。

とはいえ、当然安全弁の状態もチェックです。

実は多くの方々がこの弁の分解に頭を悩ますのです
というのも、ここ部分のねじが特殊な形で普通の工具ではまず回せないから!

ほらね!五角形のレンチなんて見たことないぞ!

無論専門工具はあるはずなのですが、一般には市販されておらず、
基本「ここはいじるな!」というメーカーの意思表示なんでしょうね。
とはいえ、そのたび新品を買っていたら4つも買えば本体が買えてしまう!

そこで私が目を付けたのが右側の小さなビット。
五角形ではないけれど、五つの星形なのでサイズが合えば角にしっかり噛みこんでくれるのではないか?
果たして結果は?

見事分解成功!

とはいえ、このビットもかなり特殊で、ホームセンターはもちろん、ねじ専門店でもなかなか売っておりません。
幸い近所に「日本橋」という電気と工具の街(今はおたくの街としての方が有名?)があるので、
そこで何とか手に入れることができました。

参考までにそのサイズなどを。
いじり防止ネジ用 5ポイント星型 ts20
私はこのお店で手に入れました。
大谷商店 大阪市浪速区日本橋4丁目14-10 五階百貨店内
(ちなみに五階百貨店とはいえ、五階建ての百貨店ではありませんのであしからず)

さて、話を元に戻して…
分解の結果、ゴムパッキンが硬化して役立たず、バネは錆びてついていました。
ですので、手元の材料でこしらえて組みなおしました。
これで良し!

よし、じゃ次は…

バラバラになたっついでに、薬浴で綺麗になっていただきましょう。

適温50度で待つこと30分。

お!きれいになった!

表面が赤っぽく見えるのは、秘密の薬浴液に溶けだした銅が付着したせい。


なみに秘密の薬浴液の正体は、100均で手に入るクエン酸です。
よりきつい塩酸(サンポール)などでもいいのですが、鉄に比べデリケートな素材なので。
ただどちらを使うとしても、酸なので放っておくと後に素材を痛めますから、
水洗いの前に、アルカリ(重曹、セッケンなど)で中和処理せねばなりません。



それを金属磨きでごしごしこすると…

銅の赤みが取れ、綺麗な黄金色の真鍮が顔を出します!

同様にしてバルブも分解し、各パーツごとにきれいに掃除しましょう。


幸いこちらには不具合が無かったので、そのまま組み直しました。

さ手そうなると次は焼き切れたウイックの再生だ!
さて、なにかウイックの代わりになるいいものないかな…
お!
これちょうどいいやん!
目を付けたのはモップの先っちょ。
これをカットしてほぐして、針金に巻き付けバルブに突っ込めれば、

完成!

というわけで、各パーツが見事復活!
ピカピカになって嬉しかったので思わず記念撮影!


これを組み上げると、

よっしゃ完成!

最初の黒焦げ状態からこの輝く姿は想像しにくいでしょ?

黒焦げ〜!


ピカピカ〜♪

とはいえ、実はまだこのままでは使用できないのです。
というのも、この子には本来あるべきゴトクが付いていない!
本来ゴトクはこのように風防に3本ついておるのです。

(ついでに言うとオリジナルの収納式コッフェル(小鍋)もない。)

というわけで次はゴトクの製作。
ま、オリジナル通り針金を曲げて作ってもよいのですが、
あれはあれで水平を出すのが面倒だし、実は手元にちょうど良いものがあったのです!

毎度おなじみ100均グッズ!
あの時の切れ端の部分です。



その上に、これもおなじみ100均小鍋を乗っけると…

ほらばっちり!

収納も順番にかぶせれば…

オリジナルのコッフェルの様にコンパクトにまとまりました。


ちなみに、こちらがオリジナル。


さて、組みあがったはいいけれど、ちゃんと使えないと意味がない。



さ、試運転♪試運転♪

「ブボボボボボ…」

へ〜、オプティマス8Rと同じバーナーヘッドなのに、こちらの方が火力があるぞ!
やっぱバーナーとタンク位置の関係かな?
タンクがサイドにある8Rに比べ、バーナーの真下にタンクがあるこちらの方が、
熱がタンクにより伝わるので気化が激しく、結果火力が強くなるのだな。

こいつは面白い!
またもやお気に入りの仲間入りだ!



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