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毒蟲
「…、でなこれがそれや!」
「うひっ!」
「なっ?きれいやろ?」
あいつは、そう言って目のまえに赤と黒と黄色のしましまの虫を差し出した。
「おまえ…、ほんまにこういうの好きやなぁ…。」
「まあな♪」
「それ、やっぱあれ?」
「ん?」
「それやっぱ、毒もってるん?」
「あたりまえや!結構きついで〜♪」
「…、ほんまお前嬉しそうやな。」
「♪」
「刺されたりせえへんの?」
「いや、たまに刺されるで。」
「あちゃ〜!もうやめとけよ。」
「あほっ!それがええんやないかい!」
「そういうもんか?」
「そういうもんや。」
「ふ〜ん、ところでな…。」
「なんやぁ?」
「おまえすごいDVD持ってるらしいやん。」
「ああ、あれ?」
「そうそう、あれ、貸してくれへんかな〜?」
「ええ〜。」
そう、これこそが今日こいつのとこへ来た本当の目的♪
噂によると、とんでもない裏DVDを持っているとのこと!
最近は巷でも裏DVDが出回っているようだが、
こいつの持っているものはそれらとは段違いにすごいらしいのだ!
「あれはアカンわ〜。」
「え〜!なんで〜?!」
「あれはな〜、」
「ケチらんでもええやん!な?な?」
「う〜ん…、・・・・・・・・・、やっぱアカン!」
「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「まあ、あきらめて。よいしょ、ちょっと俺便所行ってくるわ。」
「ああ・・」
おかしい!
あいつはいつもはあんなにケチらへんはずや。
きっと、ほんまにものすごいんや!
世間で出回ってるほかの裏DVD,そんなものは目じゃないほどすごいんや!
くそ〜!見たいな〜!
ん?
待てよ?
そんなに大事なものやったらば、絶対いつも身近に置いてるはずや。
どこや?
・・・・・・・・!
お!あのへん怪しい!
何でこんなとこに読みそうもない本があるのかな〜♪っと!
うほほ!
「発見〜〜!」ヽ(・∀・)ノ
どれどれ、ディスクの題名は…
あれれ?何も書いてない?!
やはり人目に触れられたくないんやな!
ということは、ロリ?いや、もしかしてスナッフビデオ!?
なんにせよちょっと拝借〜♪
よいしょっと…
おっ!水を流す音や、もう戻ってくるぞ…
「よお!」
「おお!」
「ほかにも虫おるねんけど見る?」
「いや、もうええわ、俺ちょっと今から用事あるし。」
「そう?じゃあまた今度な。」
「おお、ほなまた電話するわ!」
そういってわたしは急いで家に向かった。
理由はいうまでもない。
「早く見たいのだ〜!」ヽ(・∀・)ノ
家についた私は、急いで部屋に駆け込み、
いそいそとパソコンのスイッチを入れる。
起動するのももどかしく、ドライブの取り出しスイッチに指を添える。
よしっ!たちあがったぞ!
あわててドライブにDVDを放り込む!
あとは自動再生で…
おっとその前にヘッドフォン、ヘッドフォン♪
音声が漏れてはまずいものね〜♪
そうこうしていると携帯が鳴った。
見れば…、あちゃ〜!あいつや〜!
しまった、もうばれたんか〜!
「え〜っと、もしもし…」
「もしもしやあるかい!おまえアレもって帰ったやろ!」
「いや、まあ、へへへ…」
「もって帰ったもんはしゃあない、でも絶対再生するなよ!」
「けちけちすんなや、ええやんけ。」
「あほ〜!ええことあるかい、あれはな…」
「へっへ〜♪もう遅いわい、ほらもうすでにこうやって…、って、って、…、あれれ?」
画面を見る私には最初何が起こっているのか理解できなかった。
私のパソコンのなかの、すべてのファイルが開かれて…
そしてどこかに転送されて…
そして削除されていっている???
をををををををををぉぉぉぉぉぉぉ〜!
なんじゃあこりゃ〜!
携帯の向こうであいつの声が、
「あちゃ〜!遅かったか〜。」
「おま、あれ、それ、これ、何???」
「だから言うたんや、やめとけって。」
「でも、おまえこれって???」
「お前も知ってるやろ、俺が大好きなもの。」
壊れ行く私の大事なパソコン。
それを眺めながら私は思い出した。
そうや…
あいつは毒の虫を集めるのが大好きやった。
それも毒性が強ければ強いほど…
きっとこれもその一つ、
猛毒も猛毒。
とっても強力なウイルスの詰め合わせDVDやったんや…
(完)
でもほんまに、こうやってういするを集めている人って結構いるようですよ。
「うへへへ〜♪」ヘ(゚∀゚ヘ)ヘ(゚∀゚ヘ)ヘ(゚∀゚ヘ)
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