10 あなたは、だあれ?

朝、目が覚めると…
隣に知らない女性が寝ていた。
「?????」
慌てている私の気配に気付き、彼女が目を覚ます。
私は思わず、こう尋ねた。
「あなたは、だあれ?」

その女性は、見る見る顔色が変わり、
怒った口調でこう言った。
「何言うてんの〜!あんた〜!」


その後私は正座させられ、こっぴどくしかられた。
どうも、私は彼女と夫婦だそうだ。
不思議そうな顔をしている私に、
彼女はまくし立てている。

…ふざけるのもええかげんにしいや!
しまいには怒るで!
ほんまに忘れたんか?
なら、思い出させたるわ!

だからな、こういうことで結婚したやんか!

あれ?
どうして私は怒られているんだ?
この女性は誰だ?
ここはどこだ?

真っ白い壁、白衣を着た人。
ああ、ここは病院か・・・
あれ?どうしてここにいるんだ?
調子は別に悪くないが・・
おや?
隣でお医者さんと誰かが話をしている?

「そうですね、ご主人は記憶喪失というよりは健忘症に近い症状ですな。」
「健忘症?」
「そうです、ごく短期間の記憶すら保てない。」
「それって・・」
「そう、普通の記憶喪失よりも厄介ですよ…」

御主人?健忘症?
俺のことか?
俺が、健忘症?
一体何を忘れているんだ〜!

朝になった、
横に知らない女性がいる、
女性も目を覚ます。
二人して驚く。
お互いにこう言う。
「あなたは、だあれ?」
しばらくもめた後、二人ともがふと気付く。
「一体何をもめていたんだっけ?」

仕方無しにテレビをつける。
ニュースでは、なにやら大変なことがおきていると言っている。

「恐ろしい病気です!伝染性の健忘症が大流行です!」

へ〜、健忘症が伝染するんだって、
怖いね〜!
って…
あれ?
一緒にテレビを見ている、あなたはだあれ?

このようにして、全国に健忘症が大流行した。

ある者は、今しがた、かけてきていたメガネを探し。
また、ある者は何を探していたのかすら忘れている。
当然社会は大混乱!
秩序という秩序は崩壊してしまったのか?
と、思いきや…

意外や意外、
社会はいたって平和であった。
なぜって?
だって、
世界のみんなが健忘症だもの。
怒りも、恨みも、欲も、全て忘れてしまっているから、
揉め事なんか起こりっこない。

さあ、
あなたも今日から…

!(^◇^)ノ!「レッツ!健忘症!」

なんかな〜!
知っている人は知っているけど、
私って結構物忘れが激しいんですよ!
でも、
古いことや、しょうもない事柄はいつまでも覚えていて、
つい、今しがたのこと、
たとえば、ある部品をどこに置いたとか、
今何の作業をするつもりだったとか…
そう言うことをよく忘れます。

ですので、
そのようなことを知っている人間は、
私が、「あれ?」と口にすると決まってこう言います。

「またや〜!」


ヤレヤレ ┐(´-`)┌ マイッタネ




!(^◇^)ノ!「ヤンボー!マーボー!けんぼーしょー!」


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