4 鍵(第2章)
いつも私は怒られる。
小さな時からそうだった…
現に今も、嫁に怒られている。
原因はささいなことだった。
読みかけの本を開いたまま風呂に入っていったのが気に食わないらしい。
「あんたはいつもそう!だらしない!」っと…
そのうち、矛先は私の部屋、ガレージにまで及んだ。
そんな性格だから、ものを無くすんだ!
たまには整理をしなさい!
そういわれて、今私はガレージの片付けをしている。
いつもそうだが、片付けって奴は苦手だ。
なんてったって、ものを捨てるってことができない。
だって、いるから手元にあるのに…
そう、実は私は何でも拾ってくる。
ボルトナットはゆうに及ばず、壊れた電化製品、
果ては意味不明な電気部品、とにかく何でも拾ってくる。
だって、何かに使えるやん…
いつものようにぶつぶつ言いながら片付けていると…
ほら!ね!やっぱり!
懐かしいものが出てきては作業が中断する。
「おお!こんなとこに!」
「ああ!これが!これが〜!」
こういうことがあると、片付けもありかな?
そう思う。
ところが今日は違った。
「?」
なんだこれ?
物置にしているたんすの引き出しから、なにやら意味ありげな封筒が…
見覚えないし…
断っておくが、私はちらかすが、散らかしたものはちゃんと憶えている。
しかし、この封筒だけは全く覚えがない!
「ここは私のガレージ、他人が置いていくなどありえない…」
早速開けてみると、鍵!?
なんじゃあこりゃ?
さらに、1枚の便箋!
その便箋にはこう書いてあった。
「おかえりなさい!(^◇^)ノ!」
翌日から私はその鍵を持って行動していた。
なぜって?
それは、(自分で言うのもなんだが)私はいたって合理的な考え方をする人間だからだ。
つまり次のように考えたわけだ。
封筒に見覚えはない。
↓
私ではない。
↓
私でない誰かがガレージに侵入。
↓
侵入者の手がかりは封筒と鍵
↓
鍵ならば常に持ち歩いておいても違和感がない。
(もっとも嫁に言わせれば、わたしの「こじつけ」以外の何ものでもないそうな。)
つまりは、侵入者を見つけ出すためなのだ!
言葉の通り、正に鍵が鍵なのだ。
それから私は、ホームセンターや金物屋でよく似た形状の鍵を探すようになり、
いつの間にか鍵について、小一時間話せるほどになっていた。
そしてある結論に達した。
つまり、これは部屋の鍵。
しかも、特定の地域の公団が一時期採用していた特殊な鍵。
(鍵に施された特殊な、防錆、防腐食処理がその決め手であった。)
私はツーリングと称してそこに出かけていった。
今はもう随分古くはなっているが、建設当時はかなり最先端の建物だったのだろう。
今でも、各部はしっかりとしている。
目的の部屋はすぐにわかった。
というのも、鍵穴と鍵の材質の色が各階で決まっているようであったから。
(ちなみに9階建ての建物の8階19号室であった。)
私は意を決して鍵を差し込んだ。
外見とは裏腹に、部屋の内部はかなり綺麗だ。
いや、綺麗というかさっぱりしすぎている。
まるで病院の事務室のようだ。
(塵一つない!)
そのとき!
気付くまもなくいきなり目の前に男の人らしき誰かがあらわた!
男の人らしきといったのは、つまり…
分からないのだ!
人のような違うような…
もし人だったらば男かな?
そんな感じなのだ…
彼等は(驚くべきことにいつの間にか2人になっていた!)驚く私の手から鍵を奪った!
そして、なにやら会話を始めた。
「一体彼等は何を言っているんだろう?」
さっぱり意味不明の言葉を発している!
でも…
あれれ?
なんだ〜!?
なんか分かってきたぞ!
そうか!私は彼等の仲間だったのだ!
あの意味不明な言葉も、耳では理解できないが、頭の中ではよく分かる!
そうか!そうだった!
私は宇宙船が故障して、この星に来たのだ!
そこで修理するための部品を探したが、当時のこの星には未だ利用できる部品などなく、
色んな部品を拾っては集めを繰り返し…
やがて疲れた私は仕方なく、本来の意識を眠らせ…
この星の人間になりきって時を待っていたのだった!
(ちなみに私たちの平均寿命は、この星のそれの約50倍だ。)
道理で嫁がよく言っていたはずだ!
(Φ刄ウ)「あんたとは話が通じんわ!まるで宇宙人やわ!」
なるほど…
一人納得しているといきなり後ろのドアが開いた!
「あんた〜!」
W(☆O◎)W「おうぅわぁ〜〜!」
なんとそこには嫁の姿が!
うろたえる私!
「お・お前・なにしてるねん!?」
「あんたこそ私を放ったらかしにしてなにをしてるんや〜!」
「な・なに言うてるねん!お・驚けよ!俺はなあ宇宙人やってんぞ!」
(Φ刄ウ)「知ってるわ!そんなこと!」
!(・∀・)「へ!?」
(Φ刄ウ)「あんた…、まさか忘れてたんとちゃうやろな〜!?」
!(・∀・)「ナ・ナニヲデスカ…?」
(Φ刄ウ)「いっしょに来たやろ!?この私と!」
!(・∀・)「ソウダッタノネ…」
かいつまんで説明しよう。
私のおんぼろ宇宙船「メッサー号」で旅をしていた私たちは、途中トラブルに会いこの星に非難したのだ。
しかし、準備の良い私はちゃんと保険に入っており、
路頭に迷うことはなかったのだ。
そして、その時に入っていた保険会社が渡してくれていたのが例の封筒だったのだ。
つまり、この部屋に通じるあの鍵は保険屋さんとの連絡のための鍵だったのだ。
でも当時の私はその保険を使うと等級が下がるので嫌がり、
「自力で直す!」
そう言って部品拾いを始めたのだった!
そう、ボルトナット、電気部品…
そうするうちに、いつの間にか本来の目的を忘れ…
なんにせよ、やっと帰れる♪
(〃´o`)=3 ほっ…
そのとき保険屋さんがこう言った。
「では証書を拝見いたします。」
「え?!証書?!」
「はい、この鍵といっしょに入っていたと思いますが?」
「あ!あの便箋!」
「あんた!まさか?!」
<(T∇T)>「どこかにいった〜!」
「ええかげんにしてや〜!どうすんの〜!」
「いや!大丈夫や!きっとほら、アソコに!」
そういうわけで、私は今もガレージの片付けをしております。
(=^^=)ゞ「マイッタネこりゃ!」
これはね、フィクションですよ! そうそう、それそれ、風邪をひいた時にね! ハナがむずむずしてきて・・・・ いや、何ゆうてまんねん! そらハクションでんがな! そやのうて、 つくり話や、ちゅうことですがな! へ? 何? わしは生はいかんてぇ? あんたそら、造りでんがな! もう、あんたとはやっとれんわ! さいなら〜!(^◇^)ノ! |