犬106♪


処分という現実(後編)
 


前回のようなわけで、処分予定の子を引き取りたいと申し出た私たちでありましたが、
 
実は収容されているところは他府県で、われわれは譲渡の対象には、なれないそうなのです。

そういうわけで、どなたかの助けを探していた時に、その自治体の協力団体として紹介されていたボランティア団体のサイトを見つけました。
 
 
動物生命尊重の会
 
私たちは早速事情を説明し、お力添えいただけないか相談させていただきました。
 
すると先方様も快諾してくださり、何とか例の子を保護できる段取りができました。
 
と、ここでとりあえずは一安心であったのですが…
 
その後こういう子をも見てしまったのです。
 
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あきれないでください。
 
実はこの子も引き取りたいと思ってしまっていたのです。
 
大型ならば無理ですが、年老いた小型犬ならばと…
 
しかし、そこには厳しい現実が控えていました。
 
実は、こういう施設からの譲受の際には、クリアしなければならないテストがあるのです。
 
それは「噛み癖」と「病気」。
 
その癖のある犬や、病気の犬は、決して譲渡されることはなく処分されてしまうのです。
 
たとえ高齢で、歯も抜け落ちていても。
 
病気だからこそ、救いの手が必要だとしても。
 
そのような犬は譲渡対象外となってしまうのです。
 
いくらこちらはそれでも良いと申し出ても、収容している施設(役所)としては譲渡できないのです。
 
 
色々考えました。
 
どうしてこんなに高齢の犬なのに噛み癖があるのか?
 
それはつまり、人間不信。
 
ということは、そのこが受けてきた心の、そして体の傷。
 
つまり、その原因は人間の対応!
 
なんという不合理!
 
理不尽な行いで痛みつけられ不信感を抱いているにもかかわらず、ラストチャンスも与えられない…
 
また、病気であればこそ、誰かの救いの手が必要なはずなのに…
 
 
実は子のこの場合は、難治病(病名はあきらかにされず)であったため、譲渡対象外となってしまいました。
 
 
無論、役所側の言い分も理解できます。
 
譲渡した犬が万が一事故でも起こせば、その施設の責任問題にもなりかねません。
 
(というか、今はそういうことを平気で言い出す嫌な時代ですから。)
 
 
 
誤解のないように書かせていただきますが。
 
こちらの施設の方も、自治体も、間に入ってくださった団体の方も、すべて動物の命を大切に考えてくださっている方々でした。
 
でなければ、このような情報をネット上で公開し里親探しをしたり、
 
他府県の顔も正体も分からないわれわれのために奔走してくださるはずがありません。
 
それでも、どうしようもない決まりごとは存在するのです。
 
 
 
そういうわけで、この子は7月18日に処分されました。
 
私は密かに「レオ」という名前(ポチに当初つけようとしていた名前)を考えていたのですが…
 
 
 
この話はほんのほんのほんの小さな一つの命のお話でした。
 
でも、確実に消えていった一つの命のお話でもありました。
 
この子の命一つで何が変わるわけでもないですが、
 
こういう現実もあるということを知っておいて欲しくてここに書かせていただきました。
 
 
 
今回の発端は、ある自治体のホームページでした。
 
でも、現在私が住む大阪市では、自治体でのネット上でのこのような活動は行われておりません。
 
どこの自治体でもこういう活動をして欲しいと切に思わずにはおれませんでした。
 
 


【次回は前回の子のお話です】



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