12 絵本

〜赤いかぶ〜




赤いカブで山に行く

そのまま乗っかって 山に行く

コーナーでブレーキレバーを握るたび
フロントがフワフワと浮き上がる

そのたびブレーキペダルを踏みしめて
車体に喝を入れる

しかし、自分自身はどうかというと、
緊張のかけらもない。

実は目的地はどこでも良かった
あえて言うなら、涼しくて、カブを止めれて、
そして、
そのままカブをながめていれる場所ならば。


金も時間もないけれど、

今の私にゃあカブがある。

大好きな赤い色

真っ赤な、真っ赤なカブがある。

ひとしきり、カブをながめた後、
おもむろにメットを手に取る、

「!♪

ちょっと悪いことを思いつく。

よし!

私は、山道をノーヘルで下った。

流れる景色は、
私の目から何かを剥がし後ろに流れる。

頭にまとわりつく風は、
耳から入って、忘れていた記憶をかき混ぜる。

そして私を、あの時に連れ戻してくれる。

「ドキドキ」

こんなに胸が高まったのは久しぶりだ。



どうですか?


あなたもカブでドキドキしませんか?


(保護者の方へ)

本文中の「カブ」の部分を、
大きなお子様のお好きな言葉に変えて読んであげてください。
たとえば、だっくす、ぜんきち、にんじゃ、あぐすた等
きっと喜ばれますよ。




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