犬122♪

らんちゃんからの贈り物【後編】♪


そういうわけで、ランちゃんは旅立ちました。

その後、私と奥さんはランちゃんの思い出話などをあれこれ話し合いました。

楽しい思い出、幸せな時間。

いかにあのこがおりこうで、賢くて、優しくて、美しくて、

そして得がたい時間を私たちに与えてくれていたか。

いかにたくさんの素敵なものを、あのこがくれたか。

すると当然話の流れは、「あの時もっとこうしていれば…」とか

反対に、「あの時こうしてしまったから…」とか

そのようなものになってゆき。

お互い口数が減り、ふさぎこみ、また泣いてしまい…

ですが、考えを凝らすほどにある思いがよぎりました。

「今のこの悩みや悔いは、今の私の気持であって、らんの気持ではないぞ?!」

そう、問題はあのこが我々との暮らしをどう感じていたか。

どう考えても、あのまま収容所でボロ雑巾のような状態で処分されているよりは、

我が家に来て、こうして今まで暮らせてきたことは、断然幸せであったはず!

なのに、悔やむ言葉を吐けば、困るのはあのこ自身!

「私は幸せだと思ったのに、お母さんたちは違うの?わたしの頑張りが足らなかったの?」

そう思うかもしれない。

それはちがう!

そう、あのこは幸せだったはず!

たとえ、最期は嫌な病院通いをしていたとしても、

大好きなお母さんの腕に抱かれて最期までいれたもの!

ん?

まてよ、あのこにしてみれば、「抱っこしてもらえた」だが、こちらにすれば「抱っこできた」だな…

皮膚病の事もあり、普段はなかなか抱っこできなかったから、

でも、今回はそんなことも無視して、思いっきり抱っこすることが出来た…

これは私たちにとっては大きなご褒美だったのではないか!

そういえば、お正月もそうだった。

看病しなければいけないので、どこにも行かず家で過ごしたわけですが。

それがすごく静かで、暖かで、緩やかで、思いもしないほど充実した休日になっていました。

結果としてですが、あのこのおかげで、そのようなことを知ることが出来たのです。

気ぜわしい私に、気づかせようと気を使ってくれたのかな〜?

まてよ、そういえば、あのこが逝った日は日曜日。

唯一学校が休みで、朝の時間に余裕のある日。

しかも、私たちの店の開店時間に間に合うような時間丁度まで頑張って、一番長く時間を共にできるようにしていてくれた。

そして、嗚呼!今日の最期の別れは定休日の火曜日。

日月と、充分お別れの言葉をかけることが出来たではないか!

まてよまてよ!そう考え出すと、

年末年始の店のお休みの時期に体調を崩したからこそ、一緒にいてれる時間が充分取れたではないか!?

普段の営業日ならこうはいかない、絶対にあとで我々は大きく後悔しているはず!

ああああ!

なんと、思いかえすと、すべてが一番スムーズに行くように流れているような気がしてきました!

そして、今奥さんが気づきました。

「あのこが収容されていた時の処分予定日は7月の14日やなかったっけ?」

「え?それがどうし…」

ああ!ランが逝ったのは1月の14日だ!

偶然といえばあまりにも偶然。

すべてがすべて出来過ぎている様な気がしてなりません!

そういえば奥さんがあの時こう話をしていました。

「ランは今与えられた役目を終えて、みんなのところに行くの。」

そうか、そうか…

ランは我々に多くの事柄を伝え、与えるために半年の命をつないで来てくれたのか。

それは楽しかった時間でもあり、幸せだったときでもあり、

そしてまた、逝った後、我々があれこれ悩んだ事柄も、

今後必ず再びあるであろう葛藤に対するアドバイスであり宿題であったのだろう。

そういうすべてを全部ひっくるめて、ランは私たちに贈り物として与えてくれたのだろう。



今実は、私はこの文章を書きながら、鼻水をたらしながら泣いております。

犬を飼うことは、その死に目に会うことでもあり、その辛さは、尋常ではありません。

ですので、その辛いのがいやだから犬を飼わないという方もたくさんおられます。

無論、それを否定はしませんが。

その辛さよりも、もっともっと大きな、そして素敵な贈り物を、

そういう贈り物をあの子たちがくれるのだということを、

どうか皆さんにも分かっていただきたい。


私たちは、本当に、本当に素敵な贈り物をもらいました。

私たちの一生の自慢であり、他の誰にもあげません。

ずっと、ずっと、ずっと大切にどこまでも持ってゆきます。



【追記】

以上の話は、ランに限った話ではなく。

いままでの子すべての場合もそう感じました。

そしてこれは、我が家が特殊なのではなく、

犬と、いや、猫、ハムスター、フェレット、

その他のすべての動物と幸せに暮らしておられたどこの御家庭でも起こっていることだとも。

子犬だから老犬だから、一緒にいた期間が長かったから短かったから、

そういうものは関係なしに、

こちらが愛情を注げば、あの子達は応えてくれます。

ですので、そういう気持ちさえお持ちならば、

あなたも、あなたも、どなたでも、

あなたの大切な子から、大きな大きな贈り物をもらえることは間違いないと断言できます。



これからあとの「犬たち」は「もふもふランド♪」引越しします。




犬トップへ